設計者の声

カタチではなくコトから始まった家作り

最初に考えたのは、「どういう住宅を建てるか」ではなく、
「ご家族がどういう生活のスタイルを望んでいるか」ということでした。
そのため、初回の打合せ時には図面や資料等は一切用意せず、ご家族が今までどういう生活を送られてきたのかを丁寧にヒアリングしました。
食事や入浴に関することなどプライベートな部分もできるだけ率直にお話して頂きました。
一見住宅とは直接関係のない話の中からも、動線計画や必要な収納量を推し量ることができます。

二世帯住宅でありながら、玄関や浴室を1ヶ所に集約していることもその一環といえます。
入浴の時間帯も元々違い、スペースの一部を世帯間で共有することでコミュニケーションが生まれるというご主人の発想からでした。
お互いの生活を尊重し、思いやれるS様ご家族でなければこの間取りは恐らく実現しなかったでしょう。
打合せの段階を重ねるごとに、S様の思い描いている生活像が伝わってきて目指すところが分ってきました。
それに伴い私自身の考え方が同調してきます。
そこから先はお互いに意見やアイデアが活発に飛び交い、こちらからの提案も受け入れて頂きやすかったのではないかと思います。
特に子育てについては明確な考えをお持ちでした。
「子供にはなるべくリビングにいてほしいから、子供部屋はベッドが置けるスペースがあればいい」「子供部屋は朝日が一番当る環境に」「兄弟が仲良く過ごせるように」
そういった思いを具体化すると、リビングを経由した階段の配置、2つの子供部屋の間に設けた兄弟で共有できるウォークインクローゼットやロフト空間といったカタチにつながります。

注文住宅を進める上では、たとえばLDKは何帖以上、洋室は何部屋欲しい、といった条件が予め決まっていて、図面に描くことだけが私たちの仕事ではありません。
まずは、お客様の潜在的な思いをどこまで汲み取ることができるか。
それを実現するためにどう具体化させられるか。
そこに私たちの手腕が問われています。
住宅のカタチはその結果として現れるものだと思っています。

(設計担当:秋山)